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こうたろう

Author:こうたろう
31歳のバイセクシュアル男子。
これまでの生活や恋愛、
現在の話など、
どうしようもない僕の事を綴っています。

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九月が終わって

今日で九月が終わり、
今月は店の売り上げは最高売り上げを達成(といってもまだ四ヶ月だけれど)。

今月の目標にしていた金額があったが、
かなり順調にいかなければ達成できないだろう、という目標だった。

僕らと同じように二人で店をやっている友人がいて、
彼らはオープンしてもう三年。
少し前に話をした時に、
「やっと最近売り上げが順調になってきて、○○円を超えた」
みたいな話をしていた。

今月の目標は、彼らが数年やってきてやっと達成したその金額で、
それをオープンしてたった四ヶ月で達成できたのは、
多少なりとも僕らの努力もあるとは思うけれど、
単純にラッキーというか、お客さんや周りの人に恵まれているからだとしか思えない。

九月は売り上げの波がとても激しくて、
平日にしてはやたらと混む日もあれば、
週末なのにめちゃくちゃ暇な日もあって。

一日一日の売り上げに一喜一憂していたらキリが無いとは思うものの、
暇な日が続けば気持ちも落ち込むし、
モチベーションも下がる。

それでも「今日は賑わうといいね!」と明るく居られたのは、
割と(じゃない!?w)ネガティブな僕に対して、
割とポジティブで笑顔を絶やさないあやのお陰。

そして、休みの日も何かしら店の事をして、
ここの所ろくに家事をしていない僕を支えてくれるヒデのお陰。

前の職場に勤めて居た時は、
飲食業にしては割と休みも多くて、
家事もそれなりにやっていたけれど、
今は週一日の休みも何かしら仕事関連の事をしていて、
家事がほとんどやれていない。
洗濯物はたまるし、育てていた植物はいくつか枯らしてしまった。

そして、ヒデは僕がやらなくなった分も溜まった洗濯物を片付けてくれて、
買い物をしておいてくれて、掃除もしてくれる。

ヒデだって自分の仕事があるし、
今年の春から異動になって忙しくなったのに、
負担をかけてしまって申し訳ないのだが、
そのお陰で僕は仕事に打ち込むことができている。

店にも少なくとも週に一回は来てくれているし、
職場の人、友達を連れて来てくれる事も多い。
ヒデの友達、知り合いが、ヒデが不在でも来店してくれる事もあるし。

そして、今月も僕の知人、友人も多く来店してくれた。
大学のサークルの同期、先輩、後輩、
十数年振りに会う高校の部活の後輩、
そして、そういう人たちが連れて来てくれた人が、また別の人を連れて来てくれたり。

自分は友人関係が割と希薄だと思っているので、
こんなにも色々な人が来てくれるのは正直とても意外なのだが、
ありがたい限り。

常連のお客さんも徐々に増えていて、
こちらとしては
「来店してもらってありがとうございます」
という気持ちでしかないのだが、
「いやいや、こちらこそありがとうございます」
みたいなお言葉をいただく事も少なく無い。

その言葉の裏にあるのは、
「美味しいものが食べられる、飲めるお店が近所にできてくれて嬉しい」
とか、
「仕事が終わって帰ってきて、遅くまでやっててくれるのが助かる」
とか。
単純に、
「料理もワインもとても美味しかったです。」
みたいな方も。


僕のような飲食業の仕事ってのは、
料理やワインっていう形のあるものと、
接客っていう目には見えないサービスを提供する事。
その対価としてお会計をいただいている。

その中で時にそういったお言葉をいただくのは、
その対価以上の何かをお客様が感じていただけたのかな、と思うと、
とても嬉しい。


そして、お金の話をすると、
月収は前の職場に勤めていた時よりもだいぶ増えた。
月収ってのは、
純利から業者への支払いや、あやの人件費、家賃、光熱費など諸々を差し引いて、
手元に残る金額。

実は、これがオープン二ヶ月目から黒字。
個人店のオーナーって、
オープンしてからしばらくは自分の給料が残らない、なんて話をよく聞く。
つまり赤字かとんとんか。
それを考えると、
二ヶ月目から黒字で、そしてその金額が今や雇われの頃よりも上回ってるなんて、
恵まれているとしか思えない。

とは言っても、
開業資金としてだいぶ使ってしまったので、
それを回収する事を考えたら妥当な金額ではあるのだけれど、
予定よりも早くその金額に到達できている。

黒字の金額が予定よりも多い分は、
まずはあやに還元しようかなぁと。
ひとまず昇級、そして年末にはボーナスを。

そして、支えてもらっているヒデに、ここらで何かお礼をしようかな、とも。

長々書いたけれど、
つまり、
「順調です」ってことです(笑)


そして、ここの所仕事の話ばかりで、
読者の方からしたらあまり面白く無いですよね…すみません。

ってのも、休みの日も仕事の事をしていたりで、
仕事以外の話が無いんですよね…(笑)

ってことで、
十月の目標。

①休みの日は、仕事をしない
②ソファで寝ない(九月のソファで朝を迎えた率は、おそらく90%以上…)
③食生活の改善(朝ごはんをちゃんと食べる)
④ヒデと一緒に居る時間をもっと作る(①に付随して)



さて、日付が変わって、今日から十月です。

秋らしくなって、食べ物が美味しい季節。
(今年はさんまがバカみたいに高い!困る!)

そろそろハーフパンツをやめる季節。

新しいドラマが始まる季節
(気になっているのは、篠原涼子のと、広末涼子と西島秀俊のやつ)


ってことで、
ここ最近仕事ばかりの毎日でしたが、
今月は公私ともに充実した日々を送れるように頑張ろうと思います。

ここの所なかなか更新もできていなく、
読者のみなさまには申し訳なく思っていますが、
時間を見つけて何かしら更新していこうと思っていますので、
今後ともよろしくお願いします!

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深夜食堂

僕の好きなドラマに、「深夜食堂」という作品がある。

2009年に第一シリーズが始まり、映画化もされている。
舞台は新宿歌舞伎町。
24時に開店して、メニューは豚汁定食のみ。
それ以外はできるものは作るよってのがこの店のスタンス。
毎回様々な背景を抱えた登場人物が、何かしら思い入れのある料理をオーダーして、
それに絡めながらその人物を描いていく。

昔新宿の店に勤めていた。
歌舞伎町そのものに馴染みは無かったけれど、
勤務先の店から自転車で帰宅する時に歌舞伎町はよく通っていたのもあって、
未だにこのドラマを観ると、その当時を思い出して懐かしく想う。
そして、小林薫演じるこのドラマの主人公、「めしや」の主人に、どこか憧れのようなものが、
心の奥底にあったんだと思う。

僕の店は、深夜2時まで営業している。
あやは終電で帰るので、23時半以降は僕一人での営業となる。
料理を作るのも、ドリンクを出すのも、接客をするのも、
全てを一人でこなさないといけない。
時たま、遅い時間にもかかわらず満席になることなんかもあって、
そうなると手が追いつかず、かなり大変な場面も訪れるけれど、
僕はこの時間がとても楽しい。

あやが居る間は、基本的には接客は全てあやに任せている。
話しかけようと思えば、お客さんと話す余裕は無い事も無い。
だが、基本的に僕は料理のオーダーをこなしているので、
お客さんと話せるとしたら、オーダーが途切れた頃。
その頃には、あやが既にある程度話をしていたりする。
常連さんならいいのだが、初めて来てくれたお客さんとは、会話を選ぶ。
というのも、初めてのお客さんとの会話は、だいたいパターンが決まっている。

「お住まいはこのあたりなんですか?」
「今日はネットか何かで見つけて来てくださったんですか?」
「今日はお仕事帰りですか?」

そんな話題からスタートする。
そこから話が広がったり広がらなかったり。

僕が手が空いて、お客さんと会話ができる状況になった時に、
あやがお客さんとどんな会話をしているのかまでは把握できない。
よって、上記のような質問、会話の糸口は、もしかしたら既に行われているかもしれない。
そう思うと、既に行った会話をもう一度させてしまうかもしれない。
それを避ける意味もあって、僕から積極的にお客さんと会話をはじめることは、そう多くは無い。

だが、あやが居なくなり、一人になった後は違う。
来店から退店まで、一括して僕一人が請け負う。
その分、お客様と関わる度合いも高くなる。

遅い時間に来てくれるお客さんは、割と個性的な方が多い。
そう思うのは、早い時間とは違って接客をする度合いが高いからかもしれないけれど。
日によってはお客さんが一人なんて場面もあるので、割と密な話をする事も少なく無い。



家庭を持っているけれど、家に帰っても何も無いので、どこかでご飯を食べていきたい、
けれど、遅い時間にやっている店はチェーンの店ばかりで、
そうなると大体ラーメン屋とか、牛丼屋あたりになってしまうけれど、
炭水化物を食べたいわけでは無い、みたいな少し年上の男性。

職業、漫画家。
昼夜逆転していて、夕食を取ろうとする時間がかなり遅く、
ラストオーダーが終わっている店が多いので助かる、という20代半ばの女性。

飲み会後に甘いものが食べたくて、職場から自宅に帰る途中でわざわざ電車を降りて、
デザートとコーヒー、またはデザートワインを飲んで、
時には追加追加でデザートを三種類も食べていく年齢不詳の男性。

夜の犬の散歩の途中で寄って、食後酒やシャンパンを飲んでいく50代の夫婦。

「今日はマスターと話したくて来たんだよ」と、僕に会いに来てくれて、
一人でワインをボトル一本飲んでいく40代男性。
(僕はお客さんから色々な呼び方をされていて、時に「マスター」、時に「シェフ」、時に「オーナー」。
どれも言葉の選択としては正しいのだろうけれど、なんだかどれもしっくり来なくて、ちょとこそばゆい感じがしてしまう。)

看護師をやっていて、夜勤と日勤が混在しているが故に、生活の時間帯が日によってバラバラで、
活動を始めるのが遅く夕食が深夜になる、という、
うちの店の近辺を庭にして飲み歩く、30代女性。


遅い時間は一人で来る人が多く、そういう人は大概僕と話す事も含めて楽しんでもらっているようで、
割とじっくり話す事も多く、そうなるとその人の生活環境などの背景を知る事も多い。

そんな事を思うと、なんだか「深夜食堂」みたいになっていたりもするなぁと思う。
僕はあのドラマの小林薫みたいに、どしっと構えた渋い店主では無いけれど。


「遅い時間にやってくれていて助かる。」
「遅い時間にちゃんとした料理を食べられて嬉しい。」

そんな声をいただく事も少なく無く、
その度に、遅くまでやっていて良かったと思う。

「おいしかったです、ありがとうございます、ごちそうさまです。」
「近くにこんなお店ができてくれてとても嬉しいです。」

お客さんの方からそんな風に言ってもらえると、
「いやいや、こちらこそご来店いただいてありがとうごずいます」と思うと同時に、
喜んでもらえたのかな、と思って、
誰かの生活に彩りを加える要素になっているのかな(なんて言うと大げさだろうけれど)、と思い、
店を始めて良かったなぁと思える。


今日は連休明け、給料日前という悪い要因が重なったせいか、
売り上げはとても低かった。

開店してから4ヶ月。
少しずつではあるが、売り上げは伸びているし、
お客さんがついてきている感触はある。

そんな中でも、今日のように客足が寂しい日もあって、
そうなると、気持ち的には沈んでしまう事もある。
けれど、うちの店を良いと思ってくれている人、
大切に思ってくれている人が居る事も感じられる。

そんな人たちの為にも、
店を存続していけるように頑張っていかなきゃなぁ、と思うと、
前向きになれる。

今日は散々たる結果だったけれど、
落ち込んでいる場合では無い、と思える。


話は変わって、今のクールで一番熱心に観ていたドラマ、
「コードブルー」が今週最終回を迎えた。

第一話からとてもドキドキして、久々に興奮するドラマで、
しかもこれまでの二作も観てきた身としては、
藍沢を始めとするレギュラーメンバーの成長した姿を観るのがとても嬉しく、
今回からの新人フェローの成長を追うのも楽しく。

最終回は藤川の安否が最後の最後まで気にかかり、
どんな辛い状況でも笑顔の藤川が逆に観ていてとても辛くて、
それを見守る冴島が痛々しくて観ていられなくて…。
最終的には、皆落ち着くところに落ち着いた感じの結末を迎えて、
心が晴れ渡るようなエンディングだった。

来年映画化されるらしいので、とても楽しみにしている。



さて、今月も後半戦。
今月は占いによると、12年で一番運勢が良く、
その一年の中で一番良い月らしいので、
ここから挽回できるように頑張ります。


三周年

早いもので9月もあっという間に折り返しを迎えましたね。
僕の住む地域は、暑くなったり肌寒くなったり、
全く季節感が無いというか(笑)

何が困るって、店の季節メニュー!
グランドメニューとして、通年やっているメニュー以外に、
その時々、季節ごとのお勧めメニューを黒板で出してるんだけど、
その内容をどうするか、とても困る!

夏っぽいものは、まだやってんの感があるし、
かといって、まだ暑い日もあったりするから、そこまで秋っぽい感じのメニューってのもなぁ…、
みたいになると、
結果特に季節感の無い当たり障りの無いメニューになっていて(笑)。

で、店の方は、お陰様でそこそこ順調にやってます。
オープンしてから4ヶ月が経ち、
これまでやってきた事を諸々振り返り、見直して、
変更したり改善したりもしつつ、
多少余裕も出てきたので、僕もあやも「やりたい事」ってのをやってみたりして。

ただ、忙しい日が続くと、
仕込みの量も増えて、その分早めに店に行かないといけなくて、
となると労働時間が増えて、疲労が蓄積されて…、

が続いた最近、急に肩が痛くなって。

家にあった湿布を貼ってみたりしてみたものの、
改善されないので整骨院に行ってみると(人生初な気がする)、

「どっかぶつけた?」

「いえ」

「急に激しい運動とかした?」

「いえ」

「じゃ、疲労からくる神経痛だね」と。

ほんとに?!そんなもん!?
それ、今後こうならないようにするには、どうしたらいいんだ!?

などの疑問も浮かびつつ、
医師の謎のマッサージ?整体?を受けると、
だいぶ楽になった。

うーん、ちゃんと体を休めろ、疲れを取れって事かぁ。
まずは、ソファで朝まで寝ないようにする、からかな。
(何年言い続けてるんだろw)



さて数日前、ヒデと付き合って三年を迎えました。
記念日の夜、仕事を終えて家に帰ると、
テーブルには小さめの花束と、アルバム、そして大きな包みが。

深夜にもかかわらず、ヒデは起きてきてくれた。

アルバムは、二人のこれまでの奇跡をたどるような、
一緒に出かけた時や、イベントごとなどの写真を元に、
ヒデが選んで一冊に製本されたものだった。

おそらく、製本段階では写真を入れるしかできないのだろう。
その写真の内容、「クリスマス」だとか、「○○へ旅行」
といった文言が、ヒデの手書きで入れてあった。

母がまとめていた、自分の子供の頃のアルバムに、
同じようにコメントが添えられていたのを思い出した。

そして、包みの方はバッグのプレゼント。
ずいぶん前のクリスマスにもらったバッグを通勤用に使っていたが、
そこそこくたびれてきていて。

「結構使い込んでたから、新しいのを、と思って。
あと、ケーキも買ってあるから。」

時間がもう遅かったので、ケーキは翌日いただく事に。


そんなサプライズもありつつ、
三年を迎えました。

出会った頃、付き合い始めた頃には、
三年後の今を想像することなんてできなかったけれど、
お互い生活環境や職場なんかは変わっても、
うまくやっているような気がする。

特に、今年は僕は前の店をやめて、独立して、毎日仕事ばかりになっていて、
みたいな状況だけれど、
付き合ってそこそこの年月が経っているから、
やっていけてるのかもなぁって気がする。

そして、僕が仕事に打ち込めるのも、
ヒデの色々な面での支えあってこそ。
実質的な面はもちろんだけど、精神的にも。

まだ三年かぁ、もっと経ってる気がする、なんて思うけれど、
この先も永くやっていけたらいいなぁと思います。


ちなみにケーキは四つ買ってきてくれていて、
翌朝に一緒に一つずつ食べて、
残りの二つはさらに翌日、翌々日、と一つずつ食べました、僕が。

…なんで四つも買ってきてくれたんだろ(笑)






先輩の存在

大将の店を訪れた数日後のある日。

あやが帰って僕一人での営業となってしばらくした頃。
お客さんは誰も居なかったので、
今日はもう誰もこないかなぁ、と片付けを徐々に進めていた頃に、
女性が一人で入って来た。

前にも二、三度来てくれた事があった。
いつも一人で来ては、ゆったりと飲んで、そこそこ料理も食べていく。
歳はおそらく僕よりも少し下、30歳前後といった所だろうか。

これまで、少し話したこともあるが、
あまり大きなレスポンスも返ってこなかったので、
そんなに話しかけられたくない人なんだろうなぁ、と思い、
最低限の会話にとどめてきた。

なので、彼女の方から話しかけてきたので、
ちょっと驚いた。

「あの、この前○○行ったんですね。」

彼女が口にしたのは、大将の店の名前だった。

「えっ、あ、もしかして、かなさんですか?」

「あ、はい、私です(笑)」

「そうだったんですね!大将からお名前を聞いたんですけど、
どの方か分からなくって。」

「ですよね、特に名乗ってもいませんでしたしね。」


かなさんは、大将の店には週三くらいで通っていて、
更には二軒目、三軒目、とこの界隈の飲み屋をハシゴするのが日課らしい。
まだ若い女の子が夜な夜な飲み歩くなんて、
どんな生活リズムなんだろう、とは以前からちょっと思っていた。

そして、後になって知ったのだが、かなさんは看護師をしていて、
夜勤があるので、生活の時間帯が毎日バラバラで、
夜勤明けで昼前に帰宅して、就寝、起きると夕方で、そこから活動開始、
となるとこの24時近くに飲み始める事になってしまうらしい。

かなさんは、大将の店に行った時に、
大将から、最近他にはどこの店で飲んでいるのか聞かれて、
うちの店を話してくれたらしい。

「この前、大将が来てくれたんで、僕も伺ったんです。
かなさんのお陰で大将と繋がれたんですよ、ありがとうございます。」

「いえいえ、私は何も…。
そういえば、大将が心配してましたよ。」

「え、何をですか!?」

「こうたろうさん、この前大将の店に来た時、険しい顔で通帳をずっと見てた、って。」

「あ、確かに見てました。けど、それ違うんですよ、別に資金繰りに困ってるとかじゃなくって(笑)。」

その日は月初めで、
業者への支払いや引き落としなど、金銭的な事務作業をしていたのだが、
引き落としされる筈のものが落ちていなくて、
どういう事なんだろう、と、前月までの記帳記録を見返していたのだった。

注文した料理が来るまで暇だったので、
そして携帯の充電が切れそうだったので、
時間を潰すのに携帯をいじる事もできず、
通帳を見返していた、
そんな理由だったんのだが、
はたから見れば心配にもなるだろう。

「そうだったんですね(笑)
大将がとっても心配してて、経営うまくいってないのかなぁ、とか、
アドバイスしてあげた方がいいかなぁとか言ってましたよ。」

「そんな心配させてしまって、申し訳ないです。」

「いいんじゃないですか?
大将って、みんなのお父さんって感じだし、世話焼いたりするの好きそうだし。
あ、大将からLINE来て、今から来るそうです。」

「大将とLINEしてるんですね(笑)」

「そうなんです(笑)お店の常連さん達と大将のグループLINEもあって。
日替わりメニュー情報とか、”今日暇だから誰か来て”みたいなのとか(笑)」

「それいいですね、うちも欲しいなぁ(笑)」

そうこうしているうちに、大将がやって来た。
大将はまたもやくわえタバコで入って来る。
店主としては、ここはちゃんと注意をするべきなのだろうけれど、
なかなか言いづらい、と思っていたら、

「大将、ここ禁煙ですよ!」

と、かなさんが言ってくれた。

「あぁぁ!そうだった!!こうちゃんごめんな!」

そう言って、大将は小走りに店の外の灰皿へと向かって行った。


「この前すみません、通帳なんて見てたからご心配おかけしてしまったみたいで。」

「通帳…、おっ、そうだよ!
こうちゃん、ずっと通帳見て難しい顔してっからさ、
資金繰りうまくいってないのかと思っちゃってさ!」

「そうですよね、そんなんじゃなかったんですけどね。」

「でさ、どうなの、お客さんの入り具合とか。」

「そうですね…、差が激しいっていうか、混む曜日もバラバラで、全然読めないし。」

そんな話から、大将は色々とアドバイスをくれた。
このエリアで先に店をやっているという先輩の立場から、
同業者として伝えてくれるアドバイスは、
内容がとても具体的だし、的を射ている気がした。

大将は大手アパレルメーカーに長年勤務をして、
三人目のお子さんが大学に入ったくらいのタイミングで退職をし、
店を始めたらしい。

料理は特にどこかで修行をしたわけではないらしいが、
もともと釣りが趣味で、よく釣った魚を捌いて調理していたらしい。

長く会社員をやっていただけあって、
商売というか、経営者的な感覚には長けているのだろう。
ずっと飲食業一本でやってきたわけでは無い僕にとっては、
なんだか近しいものを感じる。

「こうちゃん、頭良いから絶対大丈夫だよ。」

「いやぁ、そんな事ないですよ。」

「いや、話してりゃわかるよ。こんな事言ったら他の同業の人には悪いけどさ、
飲食で成功するって、他の業界で成功するよりかなり楽だよ!?」

「そう…なんですかねぇ。」

「専門学校行って、皿洗いから始めて修行して、ずっとこの業界でやって来て、
さぁいざ店持とう、ってなった時にさ、
そいつにあるのって料理の腕だけじゃん?」

「まぁ、だけってことは無いかもしれませんけど…」

「料理だけやってりゃいいなら、それでいいかもしれないけどさ。
そうもいかないだろ。経営に対する知識とか、あと人脈なんかも必要だしさ。
そういうのが無い奴らが、夢だ、生きがいだ、って始めるから、
数年でずぶれる店がゴロゴロしてんだよ。
ちゃんと計画立てて、軌道修正しながらやってったら、絶対失敗なんてしないって。
こうちゃんはそれができるっしょ。
でも、最終的に大切なのは、お客さんの事を想うってとこだけどな。」

「そうですね、それは飲食業に限らず、一番大切な所ですよね。」

「お客さんの事を大切にしてやってたら、
どんどんお客さんついてくるし、それでまたそのお客さんが別な人呼んできてくれるしさ。
だから、こうちゃんも絶対うまくいくって。」


大将はそんな事を言ってくれただけでは無かった。

大将はそれから、週に二、三回くらい来てくれて、
その度に自分の所のお客さんを連れて来てくれる。
「これ美味しいから!店でこうちゃんが一から作ってんだよ!ぜひ食べて!」
と、本来僕がするべきであろう店のアピールを、大将はやってくれる。

そして、その時に来てくれたお客さんが、別な人を連れて改めて来店してくれる。
そんな事が続いた。

お陰で、開店以来、一番売り上げが落ち込んだ週があったにもかかわらず、
八月もなんとか予算を達成できた。
もちろん、大将だけのお陰では無いけれど、
売り上げ的にも、そして僕とあやのモチベーションを上げるのにも、
大いに助けになってもらえた。

そして、その後も大将は定期的にお客さんを連れて店に来てくれている。
近隣の店の人達とはうまくやっていかなければ、
とは思っていたが、
こんなに懇意にしてくれる存在ができるとは思っていなかったし、
とても心強く思えた。


お返しに

大将が店に来てくれた数日後、
その日うちの店は定休日で、夜予定が無かったので、
大将の店に一人で行った。

平日にも関わらず、店はとても混雑していた。
タイミングが悪かったかぁ、と思いつつ。
カウンターに座り、とりあずビールを頼む。

大将の店は魚とおでんの店。
手が空いたであろうタイミングを見計らって、
料理を注文する。

出してくれた料理はどれもとても美味しい。
ここの所、外食となると勉強や偵察を兼ねて洋食ばかりだったので、
おいしい和食というだけで、身体に染み渡る感じがする。

日本酒を何杯か飲み、席を立った。

会計は大将がしてくれた。

「すみません、忙しい時に。」

「いえいえ、ありがとうございます。

「平日なのにこんなに忙しいって、すごいですね。常連さんもたくさんいらっしゃるみたいだし。」

「いやぁ、そんな事ないですよ。お会計、こちらでお願いします。」

そう言って、大将は割と業務的に会計作業を行った。

この前うちの店に来てくれた時は、
僕の事を「こうちゃん」なんて呼んでくれたりして、
割と近い距離感な気がしていたのに、
なんだか今日はちょっとよそよそしい気がする。
まぁ、自分が客か、店員かで、スタンスが変わるのも当然だよな。

そんな事を思いながら、僕は大将の店を後にした。
調子に乗って、日本酒を飲みすぎたせいか、
フラフラしながら帰宅して、
例のごとくソファで寝てしまった(ヒデは何度か起こしてくれたらしいけれど)。


近隣の同業者とは、
「来てくれたから、こちらも行く」みたいな、
贈り物とお祝い返し的な感じがある。

前にも書いたように、貸し借りの嫌いな僕としては、
まぁこれでチャラだし、いっか。
くらいに思っていた。

だが、大将と、その周りの人との付き合いは、
その後大きな広がりを見せた。